22人が本棚に入れています
本棚に追加
――しまった!!
レオはセシルの姿を見て、瞠目し、懐から白刀を取り出そうと手を忍ばせる。
彼女は玉座にある立派な椅子に座っているので、即座にわかった。
そんなレオを――オロは制し、
「………お久しぶりです義姉さん」
にこやかに挨拶するオロを、一瞬誰か分からないように見ていたが、みるみる表情が険しくなってくる。
セシルの眉間にシワが寄る。
「オロ……ガイアナ!!」
恐ろしく深く呟き、そして、チカラ足に集約させてオロの懐へと踏み込んだ。
これが、女王としての実力なのだろう。
瞬時に剣を出現させると、オロの腹部目掛けて突いた。
明らかに牽制ではない。
オロはそれを身を引いて避けると、セシルと距離をとる。
何が何だか分からないレオは、戸惑いながらも、距離を取ろうと後ろに数歩下がった刹那。
「………『弾いて射で奉(まつ)れ孛仲蛇影(はいちゅうのだえい)』」
ポツリとセシルは呟いた。
「!!!!」
床から小さな水龍が現れ、レオの四肢に絡みつく。
――身転だ。
「レオ!!!!」
オロは弟子の危機を間近で見ると、名を叫び、駆け寄ろうと歩を進めようとするが、
「お前の相手は、わたくしですわ……殺してやる。姉様の仇」
「(姉様?)」
首を傾げるレオを見て、オロが言葉を紡ぐ。
「彼女の姉の名はビスカ・ヌンサム――今は亡き、私の最愛者の名前だよ」
最初のコメントを投稿しよう!