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ざわ、ざわ……
ざわ、ざわ……
ここは国を丸ごと見渡せる高い丘の上に存在する城の中で、大きなこの城の窓から見える世界は常に大きくて小さい。
森を挟んだ先に見える国の様子を伺えば、細かくは見えなくとも騒がしく祭りで賑わっている事が分かる。
(ボクはそれを見つめるだけ)
元々この城はボクが築いた城なのだ。
人間と関わるなんて傷付くだけでちっとも笑えやしないから、長い間を掛けてようやく築いた自慢の城。
と言っても不死の身体を持つボクからすれば『最近』なんて何十年、何百年も前の話になるけれど、
「ま、どうでもいいか」
ボクが建てたボクだけの城。
だからこそ、そこには誰も存在してなくて、あまりに空虚で満ちていた。
別に人間が欲しい訳じゃない。
魔女なんて尚更ごめんだ。
(それでも、なんだか退屈すぎるんだ……)
長い間ひとりで過ごしていたボクには、『ミク』と呼んでくれる者さえいなかった。
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