はじまりの出逢い

2/6

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
ざわ、ざわ…… ざわ、ざわ…… ここは国を丸ごと見渡せる高い丘の上に存在する城の中で、大きなこの城の窓から見える世界は常に大きくて小さい。 森を挟んだ先に見える国の様子を伺えば、細かくは見えなくとも騒がしく祭りで賑わっている事が分かる。 (ボクはそれを見つめるだけ) 元々この城はボクが築いた城なのだ。 人間と関わるなんて傷付くだけでちっとも笑えやしないから、長い間を掛けてようやく築いた自慢の城。 と言っても不死の身体を持つボクからすれば『最近』なんて何十年、何百年も前の話になるけれど、 「ま、どうでもいいか」 ボクが建てたボクだけの城。 だからこそ、そこには誰も存在してなくて、あまりに空虚で満ちていた。 別に人間が欲しい訳じゃない。 魔女なんて尚更ごめんだ。 (それでも、なんだか退屈すぎるんだ……) 長い間ひとりで過ごしていたボクには、『ミク』と呼んでくれる者さえいなかった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加