あおいつきのよる

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  「いやぁぁぁぁーー……っ」 静かな夜の頓所内に、絶叫が響く。それを耳にするやいなや、土方歳三はさっと立ち上がり悲鳴の聞こえた方へと走った。 廊下は今宵の満月で明るく照らされている。少しの焦りが見て取れる土方の姿は影に落ちる。 「ゆきっ!」 勢いよく襖を開け、そう叫べば土方の目に一人の少女が映った。 部屋の隅で頭を抱え震えている。その姿に土方は眉をひそめた。  
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