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「さっきのは冗談です。
つい勢いで言っちゃっただけなんですよ。」
彼氏はヘラヘラしながら続けた。
「僕を食べるより、彼女を食べた方が旨いですよ。
もともとその予定でしたもんね。」
彼氏は梢を奴等に売った。
男達は彼氏の情けない言動に腹を抱えて笑っている。
彼氏もそれに併せて笑う。
この場で笑っていないのは梢だけだった。
「じゃぁ僕は行きますんで。
後はご自由に楽しんで下さい。」
彼氏はそう言って、這うようにその場を去っていった。
梢はすがるように彼氏の後ろ姿を見ていたが、彼氏が振り返る事はなかった。
恐怖と絶望、そして信じていた者の裏切り、梢は言葉を発する事さえ出来なかった。
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