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気が付けば借りた金の桁は徐々に増えていき、首が回らなくなった
もう一生かかっても返せる額ではない
面白い事に借金返済の絶望を受け入れると肝が据わる
そして冷静に何が悪いのかを考えてみた
私が今こんな大雨の中の夜を歩いているのは、その答えが出たから
金木は金で心が汚れてしまった
あいつは同級生の私を陥れた
もううんざり
金木から毎日かかってくる電話
毎日やってくる金木が寄越した借金取り
おそらく金木は今こういう商売をしているのでしょう
サラ金にだけは手を出したくなかったから私は金木に頼ったんです
私を騙した罪を償う必要がある
忍び込んだりせず堂々と玄関に向かい、呼び鈴を左手の指で押し鳴らした
大雨の外にいる私には、呼び出し音は小さく感じる
しっかりと握られ、今にも右手と一体化しそうな包丁は武者震いをしていた
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