雨女の【雨本 仁美】

7/8
前へ
/37ページ
次へ
階段を上がり部屋に入った 部屋の真ん中にはソファーとテーブルが並んでいる テーブルの上には銀色の立派な花瓶があり、名前は分からないが見事に美しい花が飾られていた しかし金木の姿はない 大雨の轟音が室内に充満するなか、私はただひたすら花を眺めて金木を待った それにしても何と美しい花なのでしょう 妖艶な紫を輝かせる花びらに細く伸びた茎 その茎は柔らかな曲線美を描きながら花瓶の内側の口元にもたれかかる 更にこの花瓶も一体何の素材で作られているのかは分からないけど、とても高そう 美しく磨かれ、まるで鏡のように自分が映る その花瓶をよく見ると、金木の姿も映っていた
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加