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海岸。
いや、港と言った方が確実なのか。
その港の倉庫街の一角に飛び出た。
荒れ狂う呼吸。
そりゃそうだ、どれくらい駆けっこしたってんだ。
だが、予定通りだ。
悪霊といえども霊との性質はさほど変わりはない。
故に―――清浄粉【塩】を嫌う筈だ。
「はっ…ははっ」
左側を見れば、水平線の先まで広がる海洋。
清水に清浄粉。
霊装が殆ど使えない俺は、こう対象するしかねぇだろっ!
四つんばいで追い掛けて来る悪霊を後ろに更にスピードを上げた。
―――――――――――――――
……以上が回想だ。
まぁ、結局海に突き落として逃げてしまおう作戦は見事に失敗してしまってこんなシチュに持ち込んでしまったと言うのが事の流れなわけだ。
「…ってぇなこいつ」
ビールケースの山からやっとの思いで這い出て立ち上がる希。
目の前にはタックルをかまされた張本人が立ち尽くしていた。
「ゴn…/uギ)…グヴギ…」
瞳孔をぱっくり広げ血走った瞳がただ睨み付けていた。
「やっぱり平和的解決が出来ないよな……この調子じゃ」
はぁ、と溜め息を漏らした。
とは言っても、俺には霊装が殆ど使えない。
いや、霊装は自体は使える。
だが、それは表面上のモノだ。
そもそも霊装というのは、武器自体に霊魔術式が組み込まれている。
即ち、霊装の力というのはStage‐6以上の高い霊力を持つ者が霊装内の術式に霊力を注入する事で発動が可能になるのだ。
しかし俺はどんな霊装の術式でも何らかの力が反発して霊力を注入が出来ないのだ。
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