189人が本棚に入れています
本棚に追加
眼前すれすれまで下ろされた出刃包丁を見て、死ぬな……こりゃ。
と悟った時、頭上から声が響いた。
「――――伏せてっ!」
伏せる?そんなん無理だろッ――
しかしその声を聞いた途端に諦めてはいけない。
そんな感情が身体の内から急激に沸き起こった。
―――っ……「ぐっ……ふっ!」
鈍痛が走り言う事を聞かない体を気力で身体を捻って、出刃包丁の振り下ろされた軌道から数ミリ外れる。
そして一閃。
鼻上スレスレを何かがもの凄い速さで通過して、
『バギャンッ!』
金属が砕ける音。
同時に俺は地面に転がりエア・シャフトを手に取り、悪霊へ銃口と視線を戻した。
「…女っ!?」
そこには傷だらけの黒色のマントを羽織り、淡い白雪のような華奢な手にはその身丈に合おう筈のない、2メートル近い怪しい光を放った大鎌を構えた少女が立っていた。
「…ふっ!…」
ブォンッ。
少女は大鎌を手慣れた手付きで振り回し、
「はぁッ!」
払い上げ。
悪霊の身体を逆袈裟で斬り上げた。
「グb/ボ@ヴァz.ャギ/バゲ 」
悪霊は聞き取ることすら出来ない叫びを上げて、大気に吸収されるかのように消えた。
俺はその一瞬の光景を目を皿にして見る事しか出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!