第1話:漆黒ノ少女

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眼前すれすれまで下ろされた出刃包丁を見て、死ぬな……こりゃ。 と悟った時、頭上から声が響いた。 「――――伏せてっ!」 伏せる?そんなん無理だろッ―― しかしその声を聞いた途端に諦めてはいけない。 そんな感情が身体の内から急激に沸き起こった。 ―――っ……「ぐっ……ふっ!」 鈍痛が走り言う事を聞かない体を気力で身体を捻って、出刃包丁の振り下ろされた軌道から数ミリ外れる。 そして一閃。 鼻上スレスレを何かがもの凄い速さで通過して、 『バギャンッ!』 金属が砕ける音。 同時に俺は地面に転がりエア・シャフトを手に取り、悪霊へ銃口と視線を戻した。 「…女っ!?」 そこには傷だらけの黒色のマントを羽織り、淡い白雪のような華奢な手にはその身丈に合おう筈のない、2メートル近い怪しい光を放った大鎌を構えた少女が立っていた。 「…ふっ!…」 ブォンッ。 少女は大鎌を手慣れた手付きで振り回し、 「はぁッ!」 払い上げ。 悪霊の身体を逆袈裟で斬り上げた。 「グb/ボ@ヴァz.ャギ/バゲ 」 悪霊は聞き取ることすら出来ない叫びを上げて、大気に吸収されるかのように消えた。 俺はその一瞬の光景を目を皿にして見る事しか出来なかった。
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