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AM 8:31
「はっ…はあっ!…くそっ」
学生達が日々勉学に励み勤しんでいるであろう平日の朝。
各言う俺も学生という身分であるはずなのだが、汗水振り払って東京都市の沿岸区画の一角を懸命に駆けていた。
もう。
そりゃ、一生懸命に。
既に脇腹がオーバーヒート圏内に突入している為、鈍い痛みが走る。
日頃の運動不足が祟ったんだ。
しかしそんな事に後悔をしている暇など無く、
『/ゴnロ…ジb)デ…ャル』
半ばノイズ混じりの重低音ボイスが耳元に走り。
「ぐおっ!」
瞬間的に目の前を何かが横切り、身体の右半分に衝撃が貫いた。
そのままバランスが崩れ、アスファルトに身体が叩き付けられた。
一回…二回…
と転がって、倉庫らしき所に積み上げてあったビールケースの山に突っ込んだ。
『ガラガラッ』
俺を覆い隠すかのように、山は崩れ埋もれる。
「かはっ…痛ってえな、いきなり横からタックルなんてありかよ」
俺はビールケースを退かしながら、もそもそと崩れた山から這い出て立ち上がる。
……やっぱ平和的交渉は無理かな。
学ランについた埃やゴミを払ってさっきまで自分が走っていた場所を見つめる。
するとそこには赤い服を着た女がヨロヨロと頼りなさそうに立ち尽くしていた。
「…はぁ」
予め言っておこうと思う。
あの女は……………
………悪霊だ。
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