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その為。
俺、もとい高山 希と今年中学二年生に進級したての妹・麻那の二人でいつもの朝を迎えるのだ。
「今日も朝から旨そうだなぁ」
いつもの賛辞をつらりと並べて椅子を引いて席についた。
「あ~っ。麻那も食べるよぅ」
麻那は席についた希を追いかけるように、フライパンにタイマーを掛けて同じ温かな朝食を摂る。
そして二人での朝食が終わると。
ここからは俺の出番だ。
麻那は二人分の弁当を作らないといけない為、俺が朝食の片付けを。
食器を運んで洗剤で洗い、水で綺麗に流す。
そうこうしている間に弁当も隣で出来上がり、学校へ行く準備。
俺と麻那の通う天成学園は中、高が併設されたマンモス校であるため、行きは殆ど一緒に通う。
家から徒歩10分の市内の真心。そこに天成学園はある。
「お兄ちゃん準備出来たぁ?」
先に支度が出来た麻那が玄関から叫ぶ。
はいはいっと。
今日必要な教材を鞄に入れ、充電プラグに挿していた携帯をスラックス(学生ズボン)に突っ込んだ。
…多分忘れ物はないだろ。
室内を見渡して、部屋を出る。
「今行くって!」
これ以上麻那を待たす訳にはいかんしな。
妹は偏差値70の秀才、中等部では学級委員と風紀委員、更には生徒会長まで務め上げる。
そんなしっかり者で信頼ある模範生を一男子高校生のせいで遅刻させるなんて出来ないからな。
階段を一気に駆け降り玄関で待つ麻那の元へ向かおうとリビングを横切ったところで大切な事を思い出した。
――――今日は燃えるゴミの日。
しまった。つい忘れてた!
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