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足を止めて叫ぶ。
「やっぱもう先に行っててくれ!今日はゴミの日だった!俺はそいつを出してから向かうからっ」
「えっ?でも―――」
麻那は心配そうに言うが、
「いいから。遅刻するから先に行っててくれ」
生徒会長様を遅刻の現行犯には出来まいよ。
渋る麻那を先に行かせ、俺は裏口に置いておいたパンパンのゴミ袋と鞄を両手に学園とは反対方向に少し進んだ月極駐車場の近くのゴミ収拾所に向かった。
出る前に見た時刻は8時19分。
走れば何とかまだ間に合う時間帯だ。
近所の家を両側に収拾所へ走って行く。
コンビニやビデオ屋を通り過ぎ、月極駐車場横の収拾所に到着。
《燃えるゴミ》と書かれたプレートのゴミ袋が山のように重なって積もった場所へ持っていたゴミ袋を投げ入れて任務完了。
よしっ、このまま学園まで走るか。
踵を返して収拾所を後に来た道をとんぼ返り。
その勢いで通学路に沿って学園へ急いで行く―――――――
――――――その行動がこれから先の俺の未来を変えるとは知らず、俺はまた《これ》を一生後悔するだろう。
《これ》が《アレ》を呼び《アレ》が《彼女》を呼ぶことになることすら予測なんか出来ちゃいなかった。だってそうだろ?
自分の身丈より大きい鎌を携えた少女に遭遇してしまうことなんか。
「――はぁ…はぁっ…」
学園近くのスクランブル交差点。その少し先に見える時差式信号。
その下に赤い服を着た女が力無さそうに立っていた。
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