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ころんはその日の夕方、早めに店を閉めて会場へ走った。
会場は相変わらずの賑わいを見せている。黒羽が居た間の品評会でチケットがたまったのであろうオークのパティシエや、ころんが来る前からひたすら悩んでいるウサギの亜人パティシエも居た。
列の最後尾に居る黒羽を見つけると、歩みを進めた。すると、途中に並んでいたあのゴブリンがころんを呼び止めた。
「ころん様、その…この前は申し訳ねぇ事を…」
「…?あぁ、いいのよあんな事くらい。今まで忘れてたわ。けどね、気にしないよ。貴方もしっかり雇い主さんを見つけてね。…あと、冷静に、ね。いくら怒ったって仕方無いからね。それに、自分に自信を持って。雇用主に土下座させるくらいしっかり働きぶりを見せつけてやるのよ!黒羽はそうだったよ。」
「へ、へぇ、ありがとうございやす…!執事学校をきちんと卒業したあっしの力、とくと見せつけてやりやす!」
ゴブリンは大きく頭を下げた。それを見ていた、悩みに悩んでいたウサギのパティシエはころんが去るとそのゴブリンに試験雇用を申し出ていた。
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