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間章 温もり
「……皆、遅いね」
どのくらい経ったのだろう。
まだ10分程しか経過していないようにも、もう1時間は経ってしまったようにも感じる。不安と緊張が、時間の感覚を麻痺させた。
「…………」
童子様たちは、ご無事だろうか。
神降ろしの儀で、上手く問答鬼を滅することができただろうか。
考えれば考えるほど、不安と希望的観測がない交ぜになってゆく。
他の子ども達はまだ目を覚まさず、静かに眠ったままだ。
(私が、不甲斐ないばかりに……)
多くの者達を巻き込み、危険にさらしてしまった。
ぐしゃぐしゃと、白髪頭を掻き毟る。自分の弱さや無力さを、改めて思い知らされ、罪悪感と無力感で心が倦んでいく。
「蘇芳様」
私の右手を包み込むように、小さな両手が重ねられた。
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