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「……それは、何故ですか?」
困惑したように、先生が口を開く。
依然として、お婆さんは頭を下げたままだ。
「私は玲を罰し、追放するのではなく、呪術師として人を助けることで償いをさせたいのです。十和が……この子の姉が、望んでいたように」
先輩の瞼が、ぴくりと震えた。
「孫可愛さの、老いぼれの見苦しい言い訳でしかないことは重々承知しております。
しかし、単にこの子達に制裁を与えることで、社会を混乱させいたずらに禍根を残すより、一人でも多くの苦しんでいる人を救うことで、一生をかけて償いをさせてゆきたいのです……どうか」
お婆さんは、額を床に強く押しつけた。
「私めに出来ることなら、何でも致します。どうか、今回だけは玲のことを黙っていてやってください」
「…………」
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