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」馳走になったな」
半裸男はそう言うと、ややぎこちない手付きで皿を片付け始めた。
「あっ、お皿は私が洗いますから」
金属製の瓶の王冠を素手で引き抜く怪力で、皿を割られてもたまらない。
とりあえず、一升瓶をケースに入れて、蔵に移動してもらおう。
私は蔵から瓶を入れるケースを5つ取りに行く。
おばちゃんは、さっきまで半裸男を心配していたのをすっかり忘れて、食後のデザートを用意している。
さっき半裸男が盗み食いしたのと、同じ温泉饅頭だ。
「ばあちゃん……」
「ん?なあに?」
その人はもうそのお饅頭ご飯前に食べてるよ……と言うわけにもいかない。
「確か、冷蔵庫に昨日もらったシュークリームあったよね?生菓子だから、そっちから食べよう?」
「そうだねえ」
我ながら自然な妥協案である。何かと手が掛かる男だ。
シュークリームを並べると、半裸男はそれを掴んでまじまじと眺める。
私とばあちゃんがかぶりつくのを見て、少し躊躇してから一口で丸呑みした。
(口でかっ!?)
あれほど飲み食いしたのに、何処にそんな食欲が残っているのか。
「いろいろと、馳走になったな」
「いえいえ、大したものもお出し出来ませんで…」
ばあちゃんがペコリと頭を下げる。それに習って、私も半裸男に向かって一礼した。
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