第三章 着信

4/9
7294人が本棚に入れています
本棚に追加
/772ページ
「携帯の電源を切れば、良いんですか?」 そう聞くと、電話の向こうからホッとため息が漏れた。 別に家では携帯が圏外になるから、使えないのはいつものとこだ。電源を切っていても特に支障は無い。 「そうだ。意味不明なことを言っているのはわかってるが、電話に出てからだと遅すぎる」 電話に出てからだと遅い? さっきから気になっていたが、電話と幸野さんが行方不明になったことと、何か関係があるのだろうか? 「じゃあ宮代、外出禁止だから、学校から連絡あるまで家から出るなよ」 そう早口で言われると、電話が切れた。 「ちょ、先生……?」 質問しようとしたが、もう遅かった。受話器からは、ツーツーと虚しく電子音が流れている。 「何だったんだろ?」 よく分からない、と首をかしげるも答えは出ない。 妙なことに、学校からの連絡にしては外出禁止のことについての話題より、携帯電話のことばかり話していたた。 そんなとこより、幸野さんは無事なんだろうか? 今朝のホームルームで話題になった3年生の失踪事件とも、何か関係があるのか?
/772ページ

最初のコメントを投稿しよう!