第三章 着信

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「♪じぃーんせーいーらーくありゃ」 そりゃあ、苦もあるんだろうけど。 何だか今日は色々ありすぎて、気が滅入ってしまった。 ばあちゃんは水〇黄門に飽きたのか、チャンネルをパチパチ変え始める。 バラエティー番組やドラマの再放送、ニュースと画面が目まぐるしく切り変わっていく。 「……やってないねぇ」 幸野さんや3年生の人たちが行方不明の騒ぎになっている一方で、平和にテレビを見たり、夕食を作っている。 同じ学校の先輩の友達や先輩が事件に巻き込まれているかもしれないのに、この時点で、私には全く実感が無かった。 「あ、これだ」 お目当ての番組を見つけたのか、ばあちゃんがチャンネルを机に置いた。 「篝ちゃん、やってるよ」 「え?」 さつまいもを洗っていた水道の水を止めて、リビングに顔を出す。 「これって……」 画面には「羅石ヶ丘町 高校生9名行方不明」と表示されている。 更に見覚えのある建物――我らが羅石ヶ丘高等学校の校舎が映っていた。 「昨日未明より、**県**市羅石ヶ丘町にて、県立羅石ヶ丘高等学校の生徒6名の行方が分からなくなっております。高校側はこれを受け、急きょ生徒に休校・自宅待機の措置を取りましたが本日……」 神経質そうな男性のニュースキャスターが、早口でまくし立てる。 (あれ?行方不明の子が増えている?) 朝、ホームルームで聞いた6名の3年生と幸野さん以外にも、行方不明になった子が他に2人いた。
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