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「行ってきまーす」
いつものように7時ちょうどに自転車を漕いで、家を出る。
「行ってらっしゃーい」
畑に出ていたばあちゃんが、収穫したネギを片手に見送ってくれる。
晩ご飯に使うんだろうか。
門から出ると、家のすぐ裏にある祠に、今日の分のお供え物を供えに行く。
ばあちゃんが昨日お土産にもらってきた温泉饅頭を、年季とヒビが入った皿に載せる。
学校に行くときにお供え物を供え、帰りにそれを下げるのも私の役目だ。
しかし大抵はタヌキだか猿だかに食べられ、お供えの皿は空になっている。
山奥だから仕方ない。
何が祀られているのかは知らないが、神様も多目に見てくれるだろう。
行きは下り坂が多いので、ペダルを漕がなくても自然に前進してくれる。
20分ほど坂をくだると、私が通う高校が見えてくる。
田舎の高校らしい、程よくボロい……じゃなくて、レトロな校舎だ。
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