第一章 はじまり

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「県立羅石ヶ丘(らせきがおか)高等学校」 私が通う高校の名前である。 地名をそのまま名前に持ってきただけの、安直なネーミングだ。  そんな我らが羅石ヶ丘高等学校の校門に、今朝は珍しく人集りができていた。 警察や新聞記者、それらに対応する教師、野次馬の生徒が集まっている。 何があったのだろう。 野次馬の中に、顔見知りの生徒が何人かいた。同じクラスの本庄麻子(あさこ)に声をかけてみる。 「おはよー。警察来てるけど、何かあったの?」 「はよ。私もさっき聞いたばかりだけど、ウチの生徒が行方不明らしいよ?」 「行方不明!?え、誰が?」 それは確かに大事だ。 「3年生だって。昨日から、6人も帰ってこないんだと。」 「ふーん」 その6人の名前を聞いたが、全然知らない人ばかりだった。 ――集団家出とか?でも、大学受験を控えたこの時期に何故? 「……受験ノイローゼで、集団家出とか?」 「さあ?でも、6人ともクラスも部活もバラバラだし、特に接点は無い人たちらしいけど」 「へえ、そうなんだ」 こんなド田舎で6人の高校生が同じ時期に失踪したら、結構大きな事件になる。  そんな事をぼんやりと考えていたら、背後から肩を叩かれた。 「宮代、本庄」 振り向くと、担任の沢木先生が学級帳簿を持って立っている。 銀縁のメガネが、無駄に眩しい。 「あ、おはようございます」 「野次馬もいいけど、早くしないとホームルームに遅刻するぞ」 「げっ!」 時計を見ると既に針は8時を指してる。麻子と2人で教室まで駆け込むと、すかさず予鈴が鳴り響いた。
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