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教室に入ると、数秒後に沢木先生が入って来た。
「はーい、じゃあ出席を取ります。相田ー」
「はい」
「麻生」
「はーい」
出席を取り終えると、先生は帳簿に挟んであったプリントを取り出し、配り始めた。
「もう知ってる人も多いと思うけど、ウチの学校の3年生の生徒が6人、一昨日から行方不明になっています。」
プリントに目を落とすと、さっき麻子に聞いた名前とクラスがそのまま載っている。
彼女記憶力を半分でいいから、私にも分けて欲しいと切実に思った。
1組 合田将基
2組 御籐峯(おとうみね)和輝
橋本真由
4組 本郷美咲
船越昭太郎
5組 八島玲
確かにクラスも性別もバラバラだ。
一見、この6人に共通点は無いように見える。
「どんな小さなことでもいいから、彼らについて何か知ってる事があれば、情報提供してください」
教室が少しざわつく。
こんなド田舎には滅多に事件なんて起きないから、皆が少し浮かれるのは否めない。
そんなことを考えながらふと顔を上げると、前の席の幸野さんが俯き、少し震えていた。
軽く肩をたたいて声をかけてみる。
「大丈夫?」
「うん……」
「!?」
そう言って少し後ろを振り向いた幸野さんは、顔が真っ青だった。
額には汗が浮かび、短い前髪が貼りついている。
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