第一章 はじまり

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教室に入ると、数秒後に沢木先生が入って来た。 「はーい、じゃあ出席を取ります。相田ー」 「はい」 「麻生」 「はーい」 出席を取り終えると、先生は帳簿に挟んであったプリントを取り出し、配り始めた。 「もう知ってる人も多いと思うけど、ウチの学校の3年生の生徒が6人、一昨日から行方不明になっています。」 プリントに目を落とすと、さっき麻子に聞いた名前とクラスがそのまま載っている。 彼女記憶力を半分でいいから、私にも分けて欲しいと切実に思った。 1組 合田将基 2組 御籐峯(おとうみね)和輝    橋本真由 4組 本郷美咲    船越昭太郎 5組 八島玲 確かにクラスも性別もバラバラだ。 一見、この6人に共通点は無いように見える。 「どんな小さなことでもいいから、彼らについて何か知ってる事があれば、情報提供してください」 教室が少しざわつく。 こんなド田舎には滅多に事件なんて起きないから、皆が少し浮かれるのは否めない。 そんなことを考えながらふと顔を上げると、前の席の幸野さんが俯き、少し震えていた。  軽く肩をたたいて声をかけてみる。 「大丈夫?」 「うん……」 「!?」 そう言って少し後ろを振り向いた幸野さんは、顔が真っ青だった。 額には汗が浮かび、短い前髪が貼りついている。
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