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「ちょっと、本当に大丈夫?」
「……うん」
弱々しく頷かれるが、とても大丈夫には見えない。
「保健室、行く?」
「…………」
顔を上げようとするものの、すぐ辛そうに俯いてしまう。
「おーい、宮代どうした?」
「えっ、えーと……」
「幸野、どうしたのか?体調が悪いのか?じゃあ、ちょうど保健委員だから宮代、付き添ってあげなさい」
先生も幸野さんの異変に気付いた。
もともと色白な幸野さんの顔が、痛々しいほど血の気がひいて青白くなっていた。
「本当に休んだ方がいいよ。保健室まで一緒に行こうか?」
「……うん、ごめんね」
「謝らなくていいって」
席を立つと、幸野さんの横から肩を支え、彼女を立たせる。
体の震えがこっちにも伝わってくる。
よほど辛いのだろう。
教室を出て、保健室に向かう。階段を下りる足取りさえ覚束ない。
保健室に入ったが、誰も中にいない。
とりあえず、幸野さんをベッドに寝かせる。
「先生呼んでくるね」
隣の職員室に向かおうとすると、突然彼女はガバッと身を起こした。
「待って!!行かないで……」
震える手で、制服の裾を握られる。
「どうしたの?」
「お願いだから、誰か来るまでここにいて!!」
そう言うと、幸野さんの目から大粒の涙が溢れた。
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