第一章 はじまり

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「ちょっと、本当に大丈夫?」 「……うん」 弱々しく頷かれるが、とても大丈夫には見えない。 「保健室、行く?」 「…………」 顔を上げようとするものの、すぐ辛そうに俯いてしまう。 「おーい、宮代どうした?」 「えっ、えーと……」 「幸野、どうしたのか?体調が悪いのか?じゃあ、ちょうど保健委員だから宮代、付き添ってあげなさい」 先生も幸野さんの異変に気付いた。 もともと色白な幸野さんの顔が、痛々しいほど血の気がひいて青白くなっていた。 「本当に休んだ方がいいよ。保健室まで一緒に行こうか?」 「……うん、ごめんね」 「謝らなくていいって」 席を立つと、幸野さんの横から肩を支え、彼女を立たせる。 体の震えがこっちにも伝わってくる。 よほど辛いのだろう。 教室を出て、保健室に向かう。階段を下りる足取りさえ覚束ない。 保健室に入ったが、誰も中にいない。 とりあえず、幸野さんをベッドに寝かせる。 「先生呼んでくるね」 隣の職員室に向かおうとすると、突然彼女はガバッと身を起こした。  「待って!!行かないで……」 震える手で、制服の裾を握られる。 「どうしたの?」 「お願いだから、誰か来るまでここにいて!!」 そう言うと、幸野さんの目から大粒の涙が溢れた。
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