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「あたしは宿舎に戻る。あんたも早く帰りな。これ以上飲むんじゃないよ」
「エアコンが壊れてやがるんだ。セリパ、おまえ暖めてくれるか」
本気とも冗談とも取れる口調だった。
「ふん、二度とごめんだね」
セリパは足早にカウンターを離れようとした。その拍子に、向こうからテーブルを縫ってこちらへやってきた背の高い女と肩が触れた。
「あ、ごめんよ」
「いえ」
女の顔がこちらを向いたとたん、バーダックは思わず口笛を吹いた。背中までの長い黒髪に縁取られた滑らかな白い肌、切れ長の澄んだ瞳、細い鼻梁の下のつややかな唇。暗赤色の戦闘服と黒いプロテクターに覆われた肢体はみごとな曲線を描いている。
――――かなりの上物だ。周りのテーブルの男たちが色めき立っている。
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