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「あっ、いっけない!時間だ!」
腕時計を見ながら慌てた様子で喋る。
まったくもって世話しない。
するとハナは勢い良く芝生の斜面をを駆け上がる。
駆け上がると斜面の上にある土手道でこちらを振り返り
「じゃあ、またね!」
レイに向かって大きく手を振り、振り終えると元気に走り去って行った。
延々と質問ばかりしてきたかと思えば、急に去って行く―
一般人と会話をするのはレイにとってほぼ初めての体験であったためか、レイはその場で呆然と座ったままだった。
まるで小さな嵐が通り過ぎていったよう―そう感じられた。
芝生をなびかせながら風が舞い、草の爽やかな匂いがそっと薫る。ゆらゆらと流れる川面に陽の光りが煌めく。
レイはゆっくりと空を見上げる。
―空は快晴―
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