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レイは回想を終えても尚、川面を眺めている。
相変わらずの無表情だったが、ハナには、レイが悲しんでいるように見えた。
「素敵な友達だったんでしょ?」
「ああ」
ハナの喋り方からは、レイの「友達」がもう亡くなっている。ということを理解しているかのよう。
2人は暫しの間、川面の煌めきを一緒に眺める。
川に架かる橋。2人が座っているところから、少し離れたところにあるその場所に、1人の女性が立っていた。
その人物は、艶やかな黒髪を風に靡かせ、獣のような鋭い眼光をして、2人を見つめている。
その視線には、嫉妬、怒り、狂気が混ざり合っていた。
今まで穏やかに吹いていた風が、急に強くなった。
それは、この先に起こる事を知らせるかのように不穏なものだった。
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