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レイはハナと別れて、いつもより遅い時間にアジトに戻ってきた。
いつものように裏口から入る。
「があぁぁ!もうやめてくれぇ!」
途端、男性の苦痛な叫びが耳に飛び込んできた。
レイは動じることなく声のする方へと進む。
アジトの中では時々、情報を聞き出すために拷問が行われる。だから尋常ではない叫び声が聞こえてきても、何ら違和感を持たない。
声が聞こえてくる部屋へと入ると、予想通りの状況が展開されていた。
「金庫のロックナンバーは?」
問うのはカルロス。
「俺は知らない!」
答えたのは30代と思われる男性。
その男性は椅子に座らされた状態で手足を椅子に縛られている。
白いTシャツと黒のスラックスはボロボロになっている。
殴られたのだろうか、目のまわりは青く腫れ、口元からは血が流れている。
「まだ吐かないか、双葉」
呼ばれた双葉は不気味な笑みを浮かべて男性の前にしゃがみ込んだ。
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