18人が本棚に入れています
本棚に追加
カルロスが去ってから暫くの間、2人はその場で佇む。
帰ろうとして、レイは1歩踏み出す。
「朝、河川敷で会ってた可愛い子は誰かしら?」
レイの歩みを双葉の声が止めた。からかっているような口調ではあったが、どこか闇が垣間見える。そんな声で。
見られていたのか、と少し驚いたレイだったが、振り向いて
「ただの通りすがりの人」
と表情は変えずに素っ気なく答える。
「通りすがりの人にしては、妙に仲が良さそうだけったけど」
どうやら双葉はその話題を掘り下げたいらしく、深く聞いてきた。
「向こうが馴れ馴れしいだけだ」
またも素っ気なく答えるレイ。
「ふーん、まだシラを切るつもり?ただの通りすがりの人なら、私があの子を殺しても文句は無いわよね?」
「何でそうなるんだよ!」
双葉の言っていることは全くもって理解不能。珍しくレイは語気をあらげた。
「やっぱりただの通りすがりの人じゃないのね。あの子に惚れてるんでしょ?」
レイの反応を見て、双葉は自身の確信を述べる。
最初のコメントを投稿しよう!