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ジャンヌはその青年に微笑みかけました。 「ありがとうございます」 ジャンヌは額に十字架をあて、瞳を伏せると何も言わず祈りました。 嗚呼、どうか…――― 「…神様…」 伏せた瞳から一滴の涙を零し、小さく呟きました。 それを聞いた聖職者、年若い青年は目を丸くしてうなだれました。 この少女はこうなるべきではない。 そう胸中で揃えました。 「もう、大丈夫ですよ」 ジャンヌが声を掛けて青年はようやく我に返ると十字架を離しました。 ジャンヌは聖母のような優しい笑みを浮かべていました。
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