自殺とロマン

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「想像してみたまえ。目覚めた時、五感が遮断されていたらどうなる?外界からの刺激が一切途絶えていたら…。恐らく、自分が眠っているのかどうか、生きているのかどうかわからなくなるのでは?」 僕は小指に言われて想像してみた。五感を遮断される。人間は五感で外界を感知しているのだ。それが遮断されるということは、外界と切り離されるに等しい。 音も聞こえない。光も見えない。手を動かしても、触れるのはゼリー状の物質だけ。 自分がどこにいるのか、どうなっているのか、今何時なのか、何もかもわからない。なんだかとても恐ろしい。 「人間は外界との繋がりで生きていることを確認するのだ。その外界が感知できなくなると、人間の脳はその状況に耐えられない…つまり」 小指は一呼吸おいて、言った。 「あの少女は、二、三日中に発狂する」
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