自殺とロマン

25/28
前へ
/174ページ
次へ
「むらさき」 私は死ぬの。なぜなら、私の血の色は紫だからなの。私は血が紫なので、肌も紫なの。裸になって鏡を見ると、自分は紫なの。 私は目も紫なの。だから紫の目を通すと世界が紫に見えるの。私にとって、世界は紫なの。 私は、紫が好きなの。 みんながやってるから、勉強した。そうするものだと思ったから。でもなんか違う気がした。雑誌に影響されて、恋愛もしてみた。なんか違う気がした。 私は友達と遊んだ。親と話した。犬に餌をやった。でも、そのすべては、学んだことなの。「そうするものだから」「みんなやってるから」「雑誌やテレビでそういう光景があったから」真似してみただけなの。私のオリジナルじゃないの。真似でしかないの。人に影響されただけなの。こんな私は、私じゃないの。誰でもできることなの。 今までの人生のうち、ほとんどの行動がテレビや雑誌や友達や親やその他何かの影響を受けてきた。影響を受けたことを全部なくしたら、私に何が残るの?何も残らない? 私は、紫が好き。それが残るの。 私は、紫になりたいの。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37209人が本棚に入れています
本棚に追加