自殺とロマン

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「小指さん、どういう心理でリサはこの詩を書いたんでしょう」 小指は笑う。 「見たまんまだろ。彼女は紫が好きなんだ。私にはそれくらいしかわからないよ」 「はあ」 「何かに影響されたものを除いて、純粋な『自分』とは何か探った時…彼女には紫という色が残ったのだろう。何が残るかに、理由なんかないのだ。自分は人間でなく、紫でありたいと思ったから、リサは死を選んだ。自分が人間であることを否定したのだ」 純粋な自分とは何かを探る。その発想自体が、僕には理解できない。何のためにそんなことをするんだ。そして、それで紫が残り、紫になりたいと思ったから自殺する。その論理性もわからない。頭がおかしくなりそうだ。 「彼女の新しい人格の名前は、『紫』で決まりだな」 小指は満足げに言った。
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