なぜ小指は曲がるのか

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さくに押され、アミはバランスを崩して倒れた。アミは立ち上がろうとする…。が、目の前の棚に思い切りぶつかって、再び倒れた。 「…」 さくは見た。倒れたアミの腕。そこに走る無数の傷跡。 リストカット。 「…あなたは、死にたいの?」 さくの問いに、アミは倒れたまま、静かに答えた。 「うん。殺して。私に生きている価値なんかないから」 「…そうなんだ。いいよ。あなたを殺してあげる」 アミは笑った。 「…ありがとう。あなたが、好き。愛してる」 アミは立ち上がり、さくにキスをしようとする。しかしアミの柔らかな唇はさくの顔からそれ、ベッドの鉄製支柱に吸い付き、愛を伝えた。 「…あなたの口、冷たいのね…」
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