なぜ小指は曲がるのか

10/29
前へ
/174ページ
次へ
さくは言い放った。 「君が苦しみ、悩んでいることはわかった。…だから何?僕には無関係な話だ…。僕に同情や愛を求めているのなら、諦めろ。結局僕は他人だ。知ったことか。それでも、僕に殺して欲しいのか?面白い。僕は一度人を殺してみたいと思っていた。好奇心がうずくね。いいよ、君を…」 さくの瞳がきらりと光る。 「殺してやる」 アミは泣く。 「…正直なんだね。今までは、誰もが私に嘘で接していた。好きっていいながら、体だけ求めてたり。同情するフリをして、実は避けようとしていたり…。その点、あなたって、最高…」 さくとアミの間で、何かが通じあった。二人は見つめあい、もう一度キスをしなおした。アミは狭い視界の中で狙いを定め、さくの唇に唇を重ねる。 死の契約が、二人の間に交わされた。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37209人が本棚に入れています
本棚に追加