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二人が心待ちにしていたその日は、とても素敵な日だった。空は青く澄み、太陽の粒子が煌めいていた。
朝九時に、アミは待ち合わせ場所に現れた。さくは少し遅れて現れ、後ろからアミの肩を叩く。アミは驚き、そして二人は笑った。
アミの目は、もうほとんど見えない。手を、指と指の隙間がなくなるようにして、自分の目にあててごらん。そして中指と薬指の間にある、僅かな隙間から世界を見るんだ。それがアミの見ている世界。目が見えないだけで、世界が狭くなったように感じるだろう?
今日はアミを殺す日だ。さくとアミは、普通にデートを楽しんでいるように見える。だけど、さくは…アミを殺す準備をちゃんとしていた。
今日、デート中に。
どこかで。
さくのセッティングにより、アミは死ぬ。
どこで、どうやって死ぬのか、アミは知らない。その時まで秘密なんだ。知っているのはさくだけ。アミは、さくにどうやって殺されるのか、とても楽しみにしていた。さくが、アミを殺し、驚かせる瞬間をワクワクしながら待っているのは、言うまでもない。
サプライズプレゼントをあげる前の気持ちに似ているかもしれない。たいして異質でもない感情だ。ただ、プレゼントに死が絡めてあるだけ。ただそれだけ。
「遊園地に行こうか」
さくが提案する。
アミはにっこり、頷いた。
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