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ジェットコースターに乗った。きゃいきゃい騒いだ。風が髪を揺らし、爽やかな気分。
おばけ屋敷に入る。怖がる二人。おばけが怖くなくても、おばけが見えなくても、おばけ屋敷では怖がるべきなのだ。満喫。
コーヒーカップに乗る。さくは、コーヒーカップが苦手だった。気分が悪くなり、しょんぼりするさくを、アミは笑う。さくはいつも、何もかもに絶望した瞳で、冷静でいるべきなのよ。らしくないわ。
二人は手をつないでいた。手を離したら、アミはさくを見失う。もう一度さくを視界に捉えるのは、あまりに困難。かたく握りあう手は、相手の存在を示す唯一の光。
遊び疲れた二人は、ベンチで休む。アミはさくに問う。
「私、今愛を感じている気がするの。愛って、何なのかな」
さくは微笑みながら答える。
「愛とは、鳥の羽のようなものだよ」
遊園地のきらきらしたざわめきの中、さくは続ける。
「もちろん、悪い意味でだ」
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