18人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
(ここはどこ?)
私は周りを見る。滑り台、シーソー、砂場、見る限りここは近くの公園だと思った。
(あれは・・・)
ブランコに一人の男の子が座っている。とっても悲しそう。
その男の子の近くに一人の女の子が来た。
(っ!!)
その女の子は小学生の頃の私だった。小学生の私が男の子に話しかける。
「何してるの?」
返事が返ってくる
「遊んでるんだよ」
「一人で?」
「うん」
「私も一緒に遊んでいい?」
「駄目だよ」
遊びを断られる私。
なんで駄目何だろう。
「なんで一緒に遊んじゃ駄目なの?」
「一緒に虐められちゃうから」
私はわかった。彼は同じ学校の同級生に虐められていると言うことを。
「大丈夫だよ!ただ遊ぶだけだもん!あっちで遊ぼう!」
小学生の私が彼の手を引っ張る。私はついて行く。砂場で遊ぶことになったらしい。
「名前は、何て言うの?」
小学生の私が彼に聞く。
「遠藤和喜(エンドウカズキ)って言うんだ」
遠藤和希。女の子みたいな男の子。その名前を聞いた瞬間彼と居た日を全て思い出した。毎日学校帰り、公園で遊んでた。私の妹を連れて遊んだ日。私の友達を連れて遊んだ日。彼がギターを弾いたのを聴いてた日。
彼を虐めてる人達が公園に来て、私も同じように虐められた。けど彼が守ってくれた。そんな日もあった。
そして和喜は虐めが家にも知られて引っ越したんだっけ。その日公園で私は和喜に『大好きだよ』って言った。『俺も大好きだよ』って返事が帰ってきた。その後、下敷きを貸してと言われた。私は貸した。和喜は油性マジックで下敷きに文字を書いていた。『はい、勝手に書いてごめん』
大好きを、ありがとう。
と、書かれていた。私はどういたしまして、と言った。そしてまたここで会う約束をした。
その日から和喜はもう公園には来なかった。
私はしばらく和喜がいつも座っていたブランコに座っていた。
(かっちゃん・・・かっ・・・ちゃん・・・)
「起きろってば!」
最初のコメントを投稿しよう!