218人が本棚に入れています
本棚に追加
「「え、凜堂?!由宇?!」」
あ、やっぱり言われた(笑)
やっぱりもっと違う名前にすれば良かったかなぁ…。
苦笑まじりで答える。
ゆ「いえ、林堂ゆうです。」
翡「…本当に?由宇じゃ、ないんだね?」
先程とは違い、鋭い目で俺を見てきた。
ゆ「は、はい。よく言われますが、凜堂グループは関係ありませんし、ゆうは平仮名です。」
答えると、明らかにしょんぼりとしながら
翡「そっか…」
と言われた。
少し罪悪感はあったが、仕事で培った演技力のおかげで、全く表には出なかった。
義「…一つ、聞いてもいいか?」
今度は真剣な顔をした結城が聞いてきた。
ゆ「はい。」
義「……黒崎由宇って奴、知らないか?」
ゆ「いえ…。聞いた事ありませんけど…。あの、理由をお聞きしても?」
俺がそう言うと、成瀬が答えた。
翡「…友達、なんだ。二年前に急にいなくなっちゃって」
俺はびっくりしたふりをしながら、数秒くらい間をあけてから言った。
ゆ「行方不明、ですか?」
翡「うん…。探してるんだけど、見つからなくて、他の生徒達は、死んだんじゃないかって言ってるけど、確証もないし、僕達は諦めてない。」
思わず、素に戻りそうだった。
まだ探してる、というのはともかく
…俺、死んだ事になってんのか?
聞いてねぇよ、準さん…。
ゆ「…そう、ですか。」
沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは、翡翠のお腹の音だった。
翡「…う」
顔を真っ赤にする翡翠。
結城が思い出したように言った。
義「そうだった、食堂に誘おうと思って来たんだ。」
ゆ「…いいんですか?」
義「あぁ」
ゆ「じゃあ、行きましょうか」
翡翠に向かって言うと、照れ笑いしながらも、うんっと、うなづいた。
.
最初のコメントを投稿しよう!