撥ねられちゃった

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 周りから聞こえる笑い声にびくびく震えながら、僕はゆっくりと小説を読んでいく。  まあ何と言うことはないです。噛み倒して読み終えると席についてまたリリちゃんを見る。  学校に来れる日があまりに少ないものだから、今は必死にノートを書き写してる。  できるなら力になりたいけど、そんなに親しくないんだよなあ。挨拶でさえ交わせない状態だもん。こうやって見れるだけ奇跡だ。  と思っているとチャイムがなった。学級委員の号令で授業を終えると皆帰り支度をしだす。  ああ、今日の授業も終わりか。ということはリリちゃんとも離れ離れなわけか。  リリちゃんはノートをしまうと親しいクラスメイトに挨拶して急いで教室から出ていった。  たしか今日は音楽番組の生放送だったな。よし、録画だ。もちろんBlu-ray。 「大沼、ちょっと来い!」  そんな楽しい、ごく近い将来設計をしているとクラスの男子から声をかけられた。  面倒なことになりそうだなあ。
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