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そして気づいたら地面に寝転んでたんだ。いや、倒れていたが正確かな。
それ程時間は経ってないと思う。だって微かに見える視界に、逃げるように走るトラックを捕らえたから。
どうしてこんなにも冷静でいられるんだろ。・・・・・・いや、冷静なんじゃない。感情がこれ以上振り上がらないだけか。
そう思っていたら口の中に鉄の味が広がった。きっと血だよね。でもなんで痛くないんだろ?
・・・・・・あっ、そうか。
痛さなんか感じられる状況なんてとうに過ぎてるんだ。
もうすぐ僕は死ぬ。
誰にも知られず死ぬんだ。
あの運転手、死んだら祟ってやる。生きてちゃ文句の一つも言えない僕だけど、死んだら祟るぐらいは出来る・・・・・・よね。
ああ、視界がぼやける。微かに明るいけど、次第に暗くなっていくのかな。
父さん、強い男になれなくてごめんなさい。母さん、今までお弁当とかありがとう。
・・・・・・妹、昨日お前の分のプリン食べたの僕です。直接だと怖いから今謝っときます。すいませんでした。
そしてさようなら。
「ぬぬぬ? 君は何をしているのです?」
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