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「むう、しょうがないです」
また口の中に何かが流れ込んできた。でも今度はさっきと違う。徐々に口の中に流れ込む液体のようなものは、これまたさっきと違って生温い。
二回目ということもあってか、僕はそれを何とか飲むことができた。
何にも変化はないけれど。
「よし、じゃあ帰るです」
な!? ちょっと待ってよ。ああ、声でないんだっけ。
混乱しているうちに足音が遠ざかっていく。ああ、違う。周りの音まで全部小さくなってきたんだ。
死ぬんだ。
さすがに頭ももう働かない。
五感のすべてが奪われ僕の意識も闇の中へと落ちていった。
目覚めたら知らない天井でした。
蛍光灯のの光りが妙に明るく感じられて、もう一度目を閉じた。あー、眩しい。目なんか擦ってみる。
すると隣で何かが倒れるような音が聞こえた。
「・・・・・・生きてる?」
「き、奇跡よ!」
「兄貴!」
隣では父さんが呆然と立ち尽くし、母さんが顔を押さえて泣き崩れ、あの生意気な妹は僕に抱き着いている。
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