撥ねられちゃった

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 なんだこれ? まるで今まで僕が死んでたみたい・・・・・・・・・・・・あ。 「生きてる!?」  体のあちこちを触ってみるも痛いとこなんてありゃしない。  まるで自分の体じゃないみたいだ。  医者や看護師たちが心拍数をはかりながら首をこれでもかというほど傾けている。  これは夢かな。  でも僕は息をして、両親を見て、いつもなら怖くて話もできない妹の頭を撫でている。  本当に生きてるんだ。  そんな奇跡で胸がいっぱいで、僕はわけがわからず泣いていた。 ○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●  あのあと、医者がどこかのお偉いさんを連れて来て、研究したいだの報酬は弾むだの言っていた。  うん、断固拒否。  僕は家族に囲まれながら、いる必要もなくなった病院をあとにする。  家についての夕食は今までにないくらい豪華だった。  肉に刺身にケーキやもろもろ。  低所得でこき使われてる父さんが支えてくれている我が家にとっては、素晴らしいメニュー。  僕は小食で普通ならそこまで食べないんだけど、この日はなぜだか食が進んだ。みんな驚いてたけど、場の雰囲気もあってか誰も不思議には思わなかった。
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