私と彼の秘密事

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「あ、先生。戻って来たんだ」 保健室のドアを開けたのは藤田先生。 顔を見なくても声と呼び方ですぐにわかった。 藤田先生は私を『鈴ちゃん』と呼ぶ。 そう呼ぶ先生は藤田先生ぐらい。 藤田先生も同様、奥のベッドに腰かけるのは私ぐらいなので入ってすぐにわかったようだ。 「あ、でもまた職員室に戻らないといけないの。ごめんね鈴ちゃん」 「いいよ。仕事がんばって」 「ありがとう。がんばってくるわ」 藤田先生はそう言って、またすぐに保健室を出ていった。 また1人になった私は窓の外をジッと眺めていた。 ブーブーブー 突然、私のポケットに入っている携帯が動いた。 「……誰だろう」 こんな時間にかけてくる人なんて思い浮かばない。 あ、でもマナーモードで良かった。 つけてなかったら鳴り響いてうるさくなっちゃうところだ。 私は携帯を開き、誰からか確認した。 ,
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