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帰り道、いつものあの公園で足を止めた。
サクはあの時、どうして雨の中熱があるのにブランコに座っていたのだろう?
公園を見渡すと、ベンチに誰か座っているのが見えた。
やはり、サクだ。
背もたれに背中を預けるのではなく、わざわざ横を向いて肩を預けるように座っている。
どこまで『普通』じゃないんだ、お前は。
「つくずく公園が好きなんだな」
声をかけながら隣に座る。
一般的に背中を預ける座り方で。
「お疲れさん」
相変わらず驚く事なく、俺の問いかけも無視して。
「さっきは悪かったな。お前の気持ちとか考えずに勝手な事言って…」
「気にしすぎだよ。別に何とも思ってないから」
穏やかに、静かに答える。
「あのさ、サク」
「ん?」
ずっと言いたかった言葉。
「我慢するなよ」
―――痛みを、気持ちを。
「一人で無理するな」
―――せめて俺の前では。
「自分に嘘つくなよ」
―――辛いから。
多分、それが一番辛い。
それまでずっと黙ったままのサクがようやく口を開いた。
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