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広瀬 朔(ヒロセ サク)は、とにかく変な女だった。
間違い電話の相手と普通に話したり、屋根の上に布団を敷いて寝て落ちかけたり、飄々としていて掴み所のない、雲みたいな女だった。
サクと出会ったのはバイト先。
大学進学と共に一人暮らしを始めた俺は、ようやく新しい環境にも慣れ、小遣い稼ぎにとバイトを探した。
アパートの近くの喫茶店、そこが俺のバイト先。
たまに残り物で夕食をご馳走してくれる、とてもありがたい場所だ。
同い年のサクはフリーターとしてそこで働いていた。
身長は女子にしては高く、男子にしては低い。
髪は女子にしては短く、男子にしては長い。
そんな微妙な外見で、大きな瞳が印象的だった。
ちなみに髪の毛先の長さがバラバラなのは自分で切ったからで、所々ハネているのは寝癖が直らなかったせいだ。
この事からでも分かるように、サクはとても大雑把な性格だった。
逆に、誰か困っているとさりげなくフォローしたり、不足した備品をいつの間にか補充していたり、細やかな性格でもあった。
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