―Smile―

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*************** 広瀬朔は、常識も人とは違う女だった。 朝がきても暗いと起きられない理由でカーテンがなかったり、送ってあげると言われて知らない人の車に乗ったり、全てを吹き飛ばす自由奔放な、風みたいな女だった。 雨の後の天気は気持ちがいい位清清しい。 無事(?)風邪をひかなかった俺は、今日も元気にバイトに励んでいた。 因みに、サクも風邪をひく事なく出勤している。 いつものように笑顔で、いつものように仕事をしている。 いつもと違ったのは、俺の心だった。 理由は分からないが、イライラする。 普段ならサクの笑顔を見たり、話していれば落ち着いているのに…今日は何故か逆なのだ。 風邪にそんな症状はないので、その所為にはできない。 他人にあたる程子供でもない。 無理やり笑顔で接する自分がいる。 そんな自分も嫌で、お腹の調子が悪いからと言ってはトイレに篭り、心を落ち着かせていた。 店内に戻ろうとふと休憩室に目をやると、サクが掃除をしているのが映った。 知らなかった。 いつもキレイだとは思っていたけれど、サクが掃除していたとは。 新事実を発見し、少しの間様子を眺めていると、テーブルを拭いていたサクの動きが止まった。 後ろ姿で定かではないが、頭を抱えている…? 左手で体を支えるようにテーブルに体重をかけながら。 もしかして、頭痛? 「サク?」 思わず声をかけた。 が、振り返ったサクは目をこすっていただけだった。 「何?」 眠たそうなサクの顔。 心配して損した気分だ。 「いや、何でもない…」 サクが相手だと、やはり調子が狂う。 .
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