こんな街

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 変な街。ここを一言で表すなら、それが一番あっていると思う。例えば、このアパートに住んでいるのは、侍、忍、ピエロ、妖狐、なんか変な科学者etc...普通ではない。そういう俺はというと、ただの普通の一般人だ。普通に毎日学校に通っている。科学者、ヴェローネには「普通が普通であるとは限らなかったりするんですよねぇ」とか言われたが、この街での俺は間違いなく普通だ。侍、江奥久親や忍、烏夜鶻は、何が楽しいのか俺と一緒に学校に行っている。ピエロ、ロバーテはよくシャボン玉で遊んでいる。妖狐、稲荷はかなりの美男性だが、勿論と言うか、中身はご高齢者だ。他の住人はよく知らない。そして俺、竜ヶ崎雅は 「雅ァ、今日は早朝登校でごさるぞ」 「そろそろ行かないと遅れるよ」 「わーってる」 「雅、知ってるかぁ?シャボン玉の原液は飲めないんだぜぇ」 「常識だ」 「おやおや、仲良く登校ですか?道行く先の草は勝手に食べてはいけませんよ」 「食わねぇよ」 「私様に挨拶無しに行くわけではあるまいな、竜ヶ崎雅。今日の夕飯は油揚げを希望するぞ」 「勝手にしろ」 この生活を、結構楽しんでいる。  学校のメンバーも、この街相応に変なのだが、今全員を紹介するわけにもいかないので、機会があった奴から紹介していこう。 「貴様ら、早朝登校という言葉の意味を理解しているのか。随分と遅い登校ではないか」 「早朝登校時間には間に合っているでござる」 「我輩より30分も遅く来るとは」 「あ、もしかして寂しかったり?」 「ありえぬ!」 学級委員の守神神流は相変わらず不機嫌のようだ。こいつは俺様、というより女王様タイプで、自分中心に世界を回そうとするところがある。そして、何を隠そう凄腕陰陽師なのだ。俺達もたまに雷を喰う。 「で、やっぱ傀は来てねぇのか」 学校に1人はいる不良、荒井傀の姿が見えない。不良と言っても、普段の傀は放っておくと1人でどこかに行っているが、話しかければ意外と面白い奴だったりする。よく屋上で鳥に食パンをあげているのは秘密にしとけと念を押された。ただ、こいつは怒らすとなかなか収まらないので注意が必要だ。教室の背面黒板が割れているのもこいつのせいだ。 「どうやら我輩の雷が喰らいたいらしいな。とっておきなのをお見舞いするとしよう」 勿論神流に目をつけられている。 「それより、何も無いのに早朝登校というのは…」
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