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「ヴェローネとロバーテが、きっと面白いからって」
「そのようなことを言われては、やらぬわけにはいくまい」
やっぱりあの変態二人組か。変なことばっか教えていやがる。
「遊ぶのは勝手だが、掃除は貴様らでやるのだぞ。舞った粉も換気して取り除いておけ。よいな」
「「はーい」」
神流は教室の隅で分厚い本を読んでいる。こっちに目も向けないところがなんとも言えない。
「竜ヶ崎」
「あ?」
「荒井はなんと?」
どうやら、俺が今まで何をしていたかくらいはお見通しらしい。
「棄権するわけにもいかねぇから今年は出るってよ」
「フン、まぁ当然の結果であるな」
こいつはまったくほんとになんというか
「ご苦労であった。負けるでないぞ」
「言われねぇでも、やるからには勝つ」
「フフ。期待しておるぞ」
こいつの笑顔は目が笑ってないから怖いんだ。相変わらず本から目を離さないし。
チャイムが鳴る頃には、可愛い悪戯の後片付けも終わっていた。帰ったらあの変態共に文句を言う必要がありそうだ。その行為も、たいして意味を持たないだろうが。いっそのことスルーした方がいいのだろうか。
結局、傀は教室に帰って来なかった。
学校からの帰り道。
「だから、相手の騎馬に足を引っかければ体勢を崩し」
「そんなことしたら、こっちまで巻き添えくらうでしょ。それに足は6本あるんだよ?」
騎馬戦の作戦会議中。
「やっぱり漁夫の利を狙ったら?」
「漁夫の利を狙ってる俺らを狙ってる奴がいた場合、どうするのでござる」
「それなら漁夫の利を狙ってる俺らを狙ってる奴を狙ってる奴もいるでしょ」
全く進展無し。
「んー…雅はどうなのだ?」
「その場その場のケースバイケース」
「そういうの、その場しのぎって言うんだよ」
「悪いかよ」
「いーんじゃない?どーせ進展しないしね、この会議」
「右に同じでござる」
進展していない自覚はあったらしい。
「あとは傀に任せとけばなんとかしてくれるだろうし」
ごもっとも。
「今帰りか」
後ろから声がかかる。振り返ってみると妖狐、稲荷が油揚げを手に提げている。
「おぉ、これは稲荷殿」
「そっちも帰り?」
「竜ヶ崎雅が油揚げを買ってくる気配が無かったのでな。私様自ら買ってきた」
別にビニール袋が張り裂けんとするほど買って来なくても。というか俺のせいか。
「人の子など、何も成さぬと思っておったが、こればかりは賞賛に値するな。とは言え、少々買いすぎたか。
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