こんな街

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自分の食材を少し分けてやればいいらしい。金はなんとかなりそうだ。だが」 「どうかなされたか?」 「ヴェローネが実験台にしそうだ」 一同沈黙。 「ミギナー」 「ヤバイね」 「い、急ぎ貰い手を探すでござる!」 華夜叉も、何故ここに送ってきたのだろうか。ヴェローネの事はよく知ってるはずなのに。 「猫殿ぉ…」 「雅、誰か貰ってくれそうな人に心当たりない?」 「え、あぁ」 その時脳裏を過ったのは、鳩に食パンをあげているあいつの姿だった。 『猫だぁ?』 「知人が送って来たんだが、うちじゃぁちょっと飼えねぇんだ」 明日まで待つということもできず、メールでのやり取りは面倒くさいので、傀のケータイに電話をしたところ、意外と早く繋がった。 『そりゃ別にかまいやしねぇがよ』 「マジ?サンキュ。詳しい話は後でするわ。今どこでいんだ?」 『商店街のうどん屋』 「お、近いな。そんならうちに来いよ。場所わかんだろ?」 『てめえは自分の頼み事の為に他人を動かすのか…まぁいい。食ったら行く』 「待ってんぞ」 電話を切って部屋に戻ると、どこから取り出したのか、久親が猫じゃらしを持って猫と対決していた。両者共に動きが尋常じゃないほど速い。 「ミギナー!」 「これは渡さぬでござる!」 「あ、お帰り。どーだった?」 そんな2人は気にも止めず、鶻はベッドの上で寛いでいた。 「なんとかなりそうだ」 「そりゃ良かった」 どうやらもう猫に飽きたらしい。 「ミギナー!」 「とぉぁあああ!」 こちらもよくやるものだ。 「傀が貰ってくれるってよ」 「へぇ、意外」 屋上で鳥に食パンをあげている傀を知ってさえいれば、たいして意外でもないのだが。 「それで?どこで渡すの。学校に持ってったら神流がうるさいよぉ?」 それは勿論承知している。「学校に猫など、貴様は何を考えておる。そんなに雷が食らいたいのか」とかなんとか言われておしまいだ。 「今、商店街のうどん屋にいるらしいから、来てもらうように言った」 「ふーん、久親ぁ、傀来るって」 「なんとっ!」 「ミギナー!」 一瞬止まった猫じゃらしを、猫は見逃さなかった。くわえてベッドの下に隠れる。 「ッ!不覚」 「あーらら。次に出てくる時はあーんな本とかくわえてるかもね」 「ねーよ」 「それより、荒井傀が引き取ってくれるのでござるか?」 久親は本当に切り替えが早い。 「あー、今から来るから」 「そうでござるか!よれはよかった」
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