10人が本棚に入れています
本棚に追加
『校庭の犬#リバース』
校舎付近を走る男子生徒たち。今日はマラソン大会の開催が決定していた。
「熱いよ~死んじゃうよ~」
「このままいくとミイラになんだろ~」
「いや、それはない。ただし熱中症で、今から俺が死ぬ」
という感じで生徒が語り会う。
犬が見えた。正門から入ってきたらしい。
「へへっワンちゃんだ~カワイイな~」
「幻覚じゃないよな」
「なあ、あれ追い返してさ、時間かせがないか。さすがに体育の鬼瓦も許してくれんだろ」
「いいなそれ、行こうぜ」
3人が周回コースから離れると、犬もまた近づいていく。相思相愛の仲のようだった。ただし、一方が徐々に不信感を覚え始めた。
「なあ、あの犬おかしくない?」
「確かに、よく見たらサイズが……」
「おわ、この犬でかいよー」
最初に1人が大声をだして逃げだした
「触手がでてきたー」
犬の脇腹からでた6本の触手が襲う。
「田代が捕まったー!!」
生徒が触手に絡まれる。巨大な犬の腹部がパカッと並んで歯がズラリと並んでいた。田代は走馬灯を見た。
「えー! 田代食われんの?」
小学生五年生くらいの人間が、飛び膝蹴りを食らわせる。
「校長が出てきた」
足で犬の首を締め上げている。
「やれー! オトセオトセ!! てか校長強すぎだろ」
巨大な犬が泡を吹いて倒れた。
「校長せんせい、ハアハア、ありがとうございます」
髪を後ろに結った白衣姿の女性生徒が頭を下げる。別の校舎から走ってきたようだ。
「いや、構わないよ。でもさ実験動物逃がしちゃダメなのだよ。科学部部長」
「はい、すみませんでした。今片付けますから」
複数の白い防護服を着た人間が、犬を大きな台車に乗せて運びだす。
「出したのは短い期間だったので、この辺りの汚染は大丈夫なレベルでしょう。たぶんですが……あっ数値がレッドゾーンになってしまっている」
意味不明だが、集まっていた男子連中が校外へ駆け出した。
最初のコメントを投稿しよう!