時は動きだした

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店を出てすぐに駅とは別の方向へと歩いて行った。 その表情は冷たく凛としていた。店にいたときの表情はどこにも無かった。 鳴った携帯の名前の表示も見ずに出た。 「はい。」 『姫。今そちらに向かってます。』 「いつもの場所で待ってます。」 それだけ言うと携帯を切った。そしてその足は決まった方向に向かっていた。 壁に背を預けて視線を下に向けたまま目を瞑って迎えを待った。するとすぐ目の前に車が止まり、一人の男が降りてきた。 「お迎えにあがるのが遅くなってすいません。」 「ううん。ありがとう静。いつもごめんなさい。」 そう言って車のドアを開けてもらい乗り込んだ。中には運転していたもう一人の男がいた。 「今日の運転は魁斗だったんだ。陸はお留守番なのね。」 拗ねてたでしょと笑うとそのとおりだと笑顔で返ってきた。 ドアを開けた静が隣に座ったところで車は発進した。 「最近、妙な動きが見られます。」 「どこが?」 車の中での会話は仕事の話だ。ここなら周りに気を使うことなく話が出来る。だから内容もおのずとあまりよくない話題となる。 「政府と言ったほうがいいでしょう。」 「また変なことを企んでいるのかしら。私たちに内密で。」 「シルバームーンに内緒で何かをするということ事態が怪しいんですけどね。」 シルバームーン。 これが私たちの組織名である。そしてこの組織はアンダーグラウンドで知らない者がいないほどの大きな組織であり、リーダーである私はアンダーグラウンドの四天王と呼ばれる一人だ。 この日本においてシルバームーンの力は絶対に近い。警察そして政治に対しても力を持っている。ヤクザなどはこの組織に対して頭が上がる組など無いと言っていいだろう。中には名を上げようと喧嘩をしかけてくる奴らもいるが。
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