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「はい。」
『ルナ、元気にしてるか?メールは見たのかな。』
「えぇ、今見たところです。本当に甘えてしまってすいません。」
『メールにも書いたけどね。気にしなくていいんだ。ルナが無事でいることが一番なんだからね。』
「ありがとう、フェイ。」
こうして話が出来ることが嬉しい。
同じ方向を見つめている者たちと。
大きな力を手に入れた者たちは己の理性を制することが出来なくなる。
そしてその力に溺れていく。
だからそうならない者を探し出した。
しっかりとした理性と知識、そして常識を持っている人物。
それがこの三人なのだ。
『ルナ、気をつけたほうがいい。日本政府が何かを企んでいること。君に対して何かしようとしていることは確かだ。』
「そうですか。やっぱり狙いは私ですか。」
『君はいまや日本においてかなりの力があるからね。君のことを煩く思ってる者たちもいるさ。それは僕らも同じさ。力を持ったものは怖がられ恐れられ、そして煩わしがられる。』
「そうですね。」
彼女の声のトーンが落ちた。
落ち込んだことがよくわかった。
彼女はアンダーグラウンドで仕事をしている間、冷静さも冷徹さも凛とした姿も崩すことは無い。
だが素直な姿を見せるということはそれだけ心を許しているからだ。
だからそんな姿を感じてしまうと笑ってしまう。
『気にしてはいけない。僕たちがいなくなればアンダーグラウンドの連中は表に出てくる。だから消えるわけにはいかない。上から押さえ込む者たちも必要さ。』
「そうだね。ありがとう、フェイ。悩むって分かっていて電話をしてくれたんでしょ。」
気遣いに敏感なのは、それだけ彼女が気遣いを出来る人だからだ。
『まったく優しい子だね。では、また何かあったら連絡を入れるよ。』
そこで電話は切れた。
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